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2004/02/25

しにか 2004年3月号

 大修館書店の『しにか』2004年3月号を読了。
 実は、他にもいくつか読み終ってたりするのだが、書く方が追いつかない……。
 『しにか』は、中国を中心とした、東アジア文化/漢字文化をテーマにした総合誌という、ちょっと他に類を見ない雑誌だったのだが、本号で休刊。毎号買っていたわけではないが、時々、特集によっては買って拾い読みしていたので、なんとなく寂しい。創刊は1990年。この十四年を長いと見るか短いと見るか。
 特集は「漢字の将来ーどうなる?どうする?」と、「中国学・韓国学の〈十年後〉』の二本立て。それぞれ、関係する各分野の専門家によるエッセイをいくつか集める、という趣向になっている。
 「漢字の将来」の方は、コンピュータ(特にワードプロセッサーとしての)が漢字を容易に扱えるようになったことを、どう捉えるのか、という問題が(結果としてだと思うが)中心に。樺島忠夫「これからの漢字政策を考えるー外来語に語彙を占領されないために」では、読める漢字(=ワープロで書ける漢字)と、手書きで書く漢字を分けて考え、教育の中で、前者の数を増やすことを考えるべきと主張する。一方、読める漢字を増やすべきという点では共通するものの、小林一仁「漢字教育をどう変えるべきかー国語科の科目を抜本的に改革した上で」では、書くことも含めた漢字の使いこなしを重視している。こうした、いくつかの立場の違いはあるものの、漢字を読む力が失われれば、過去の文化(近代を含む)との接点も失われるという危機感の深さは共有されている。
 一方、「中国学・韓国学の〈十年後〉」では、各分野の専門家が、それぞれのスタイルで、十年後を予測したり、希望を述べたりしているのだが、ここでも、コンピュータの影響は大きく、人文諸学各分野で、恐ろしい速度で進む電子テキスト化の影響が大きいことがうかがえる。と同時に、中国・韓国ともに、人的交流が進んでいることの影響や、以前は不可能に近かった現地調査が容易になったという変化の意義が、様々な視点から語られていて興味深い。
 中国については、「党国体制」の変化の可能性を語る、小島朋之「現代中国 政治解放が焦点に」、韓国については、北朝鮮との統一が将来的にあるということを前提として今後の東アジアの将来像を考えるべき、とする、小針進「現代韓国 GDP二万ドル時代と南北統一を迎えるか」が示唆的。手近に仮想敵国がないと生きていけない人たちにとっては、大変な時代が来るのかも。
 が、そういう時代が来るかもしれない今、『しにか』のような雑誌がなくなる(ということは、きっとそれほどは売れていない)というのは、将来を楽観しにくい状況ではあるなあ。
 ちなみに、本号の『しにか』の表紙は赤(炎という文字がデザインされている)だったりする。かつて80年代に『遊撃手』が使ったネタ(雑誌の最終号は何故か赤い表紙が定番)を思い出したのは、私だけだろうか。

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