« 二十面相の娘(2) | トップページ | 本道楽 »

2004/02/15

本草から植物学へ

 文京ふるさと歴史館の平成15年度学習企画展「本草から植物学へ 岩崎灌園から牧野富太郎まで」(会期:平成16年2月14日〜3月21日)を見に行ってきた。
 正直なところをいえば、さほど期待はしていなかったのだが、予想以上の充実ぶり。入館料100円でこれは激安というべきだろう。
 ただし、平賀源内展のように、レアな超一級品が並んでいるわけではない。
 基本的な資料を一般的な流布本で抑えつつ、要所要所でこれは、というものを繰り出してくるところが渋い。岩崎灌園がらみでは、『本草図譜』の近代の各版を展示したり、『日本古典全集』(日本古典全集刊行会)所収の「本草通串」の附録と間違われて収録された『本草図説』(本草図譜の前身)を展示するなど、おお、そうだったのか、という発見もある。
 園芸関係については園芸書だけではなく、梅屋敷、花屋敷といった江戸期の園芸テーマパークを地図や名所図会等を駆使して紹介する展示を展開。
 個人蔵の馬場大助『蛮産衆英図説』や、高知県立牧野植物園蔵の関根雲停『リュウガン枝写生』など、普段はあまり見られない図も展示されているのも見逃せない。特に、『蛮産衆英図説』は新出資料だったりする。この他、江馬活堂の日記『東海紀行』(『藤渠漫筆』第九編巻三)では、馬場大助との出会いの経緯などが詳細に書き込まれていて、これまた、めちゃくちゃに面白い資料だったりする。
 最後は牧野富太郎まで話をつなげていくのだが、ちょっと無理に引っ張っている感じも……。ただし、文京区に住んでいた植物学者ということで、松村任三、三好学、伊藤篤太郎を紹介しているところがまたまた渋い。
 展示品のかなりの部分を提供している平野満氏と、講演が予定されている磯野直秀氏の協力も得て、本草学史研究の最新の成果が反映されている。単なる一地域館の展示と甘く見ていた私が間違っていた。本草・博物図譜ファンは必見。

« 二十面相の娘(2) | トップページ | 本道楽 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10435/199889

この記事へのトラックバック一覧です: 本草から植物学へ:

« 二十面相の娘(2) | トップページ | 本道楽 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

Creative Commons License

無料ブログはココログ