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2004/04/08

国産ロケットはなぜ墜ちるのか

 松浦晋也『国産ロケットはなぜ墜ちるのか H−IIA開発と失敗の真相』(日経BP社, 2004)を読了。
 中身は、日本の宇宙開発の問題点をえぐり出しつつ、残された希望を何とか拾い出そうとする、という趣旨なのだが、結果的に、日本の官僚(的)組織の病理に肉薄してしまっている。
 というわけで、様々な形で病んだ組織の中で、歯がみしている人たちにとって、それでもまだ諦めずにいることができる、ということを示しているというだけでも、本書は、書かれてよかった一冊だと思う。勇気や希望や元気や感動は与えてくれないかもしれないが、ここで冷静に状況を見きらなければもう二度と回復は不可能だ、という状況の中で、腹を据えるためのきっかけくらいは与えてくれるはずだ。
 要するに、日本の宇宙開発関連の組織(役所も関連法人も企業も)が官僚的(かつエンジニア軽視の)運営によってその力を失い、意思決定の決定的貧困が人の意欲を奪い去る、という状況が、これでもかという具合に描かれているわけだが、こうした矛盾がとても先鋭化して見えるのは、宇宙開発が、一見、夢とロマン溢れる世界であるかのように宣伝されてしまっているからなのかもしれない。将来を見据えた政策、技術開発、品質管理、プロジェクト・マネジメント等、様々な領域で極限的なものを要求される以上、単なるロマンでなんとかなる世界のはずもない。むしろ、生臭い国際競争の世界として、宇宙開発を見つめる視点を著者は提供してくれている。と同時に、その現実を踏まえた上で、(子供たちにとっての)「希望」としての宇宙開発を語るあたりは、もはやコメント不能の領域だ。
 状況証拠の積み上げによる議論も少なくないし、実証性には欠ける面もあるような気もするのだけれど(まあ、それだけ情報が公開されていない、ということでもあるだろう)、プロジェクトXに泣いている場合ではない、というのはよくわかる。医療現場もそうだが、必要な領域に必要な人材と資源を投入する、という判断が、社会の様々な領域でできなくなってしまっている、ということが、どのような結果をもたらすのか、というケーススタディとしても貴重な一冊かもしれない。
 ちなみに、bk1に掲載されている、著者と笹本祐一との対談も傑作なので、ぜひあわせて一読を。

(2005.04.11追記 書名を間違って引用していたのに気がついたので直しました。我ながら情けない……。)

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コメント

私、一時期コレ系の仕事やってました。
宇宙から送られてくる電波を受信して云々…の電気回路関係の設計です。ハードウェア屋でした。
で、その後、ソフトウェア屋に転身しました。
理由は…

「国産ロケットはなぜ堕ちるのか H−IIA開発と失敗の真相」

読んでみます。

 著者の松浦晋也さんのWeblogも、ところどころ、出会った技術屋魂炸裂の方々の話が出てきて、泣かせます。
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/

宇宙開発は宇宙文明を築くことが本道 宇宙都市建設に砂漠に宇宙都市を建設して実際の宇宙に行く前に砂漠に宇宙都市研究所を建設すると安く宇宙都市研究ができる 宇宙開発に大切なのは生態系である 砂漠の緑化に巨大な樹木の鉢植えを作り砂漠に置いていくやり方がある 鉢植え同士を鉄骨などで繋ぐと倒れないお金がかかるが最も確実に生態系が築ける 砂漠の緑化で生命の安全を図れるかもしれない

宇宙文明の開発の中で宇宙都市開発がある 宇宙都市開発はあらゆる産業も宇宙技術開発になる製造業何などいかに安く省エネで製造するかなど宇宙生産技術開発で宇宙に大発展するかもしれない

宇宙生活は月面都市を想像して開発すると宇宙都市になるかもしれない 生態系と生命力豊かな宇宙都市になるかも 宇宙発明宇宙製品で生き残れる人類になれるかもしれない

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