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2004/08/20

歴史のための弁明

 しばらく前に読み終っていたのだけれど、マルク・ブロック著/松村剛訳『歴史のための弁明 歴史家の仕事 新版』(岩波書店, 2004)について。
 帯に「練達の新訳!」とあるのだけれど、率直にいって読みにくい。複数の草稿を元に編纂された1997年刊の校訂版を元にしているそうで、恐ろしいことに、初期の原稿になく最終稿にある部分が[ ]で示されていたりする。つまり、もともとのフランス語で、最終稿で追加されたものとして表示されている部分が、日本語でもちゃんと(かたまりとして)そのように表示されている、ということになる。そりゃ直訳調にするな、というのは無理な話だよなあ。学問的に厳密、という意味では正しいやり方ではあるのだろうけど、何とも取っつきにくいのがもったいない。
 中身は歴史研究の方法論を、自然科学や、社会学と比較しつつ論じる、というもので……なんて、説明はまあ不要なのかな。歴史研究の対象が、結局は人間である、ということが強調されているのが印象的。後半は、歴史研究における批判や分析、といった方法論の特徴(限界と可能性)を論じていて、じっくり読むと面白い。読みにくいけど。
 解説によると、著者のマルク・ブロックは、リュシアン・フェーヴルとともに『アナール』誌を創刊した人とのこと。知らなかった。それにしても、対独レジスタンスに参加してドイツ軍に銃殺され、本書を完成できなかったとは、これまた知らなんだ。ついでに、戦後に遺稿を最初に出版したのはリュシアン・フェーヴル。うーむ、なんか、面白そうな人のような気がしてきた。ブロックの伝記(キャロル・フィンク著/河原温訳『マルク・ブロック 歴史のなかの生涯』(平凡社, 1994))を、そのうち読んでみるかなあ。

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