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2005/03/14

日本の博覧会

 博覧会ついでにこれも。こんなところで取り上げる必要もないのだろうけれど、『日本の博覧会 寺下勍コレクション』(平凡社別冊太陽, 2005)はすばらしい。愛知万博便乗企画、という側面もあるのだろうが、こういう便乗なら大歓迎。
 ディスプレイ関連の仕事に長く関わってきた寺下勍氏が蒐集したコレクション(現在は乃村工芸社に寄贈され、保存されている)の一端を紹介する図録なのだが、日本の博覧会第一号といわれる最初の京都博覧会の資料こそないものの、その後の明治初期の京都博覧会の資料や、湯島聖堂の博覧会の資料、そして、言わずと知れた内国勧業博覧会関連といった、博覧会史の基本資料がずらりと並ぶ。よりモダンな雰囲気を漂わせる大正期の博覧会や、個別のテーマ博が盛んになっていく昭和前期、そして、日本最初の万博になるはずだった幻の紀元二千六百年記念日本万国博覧会関連の資料も。戦後は、復興期を飾る地方博、テーマ博もあるが、本書の図録部分の掉尾を飾る1970年の大阪万博にとどめを刺す。万博グッズの数々が当時の盛り上がりを雄弁に語っている。
 その後の博覧会については、巻末エッセイの一つ、橋爪紳也「博覧会はどこへ? 1970年代以降、二十一世紀への動向を見る」にまとめられているが、やはりモノがないのは寂しい。続編に期待。とりあえずは、私と同じ世代にとっては、万博といえばこれだったはずのつくば科学万博については、『つくば科学万博クロニクル』(洋泉社MOOK, 2005)があるので、本書とあわせて揃えておきたい。
 巻末には、乃村工芸社でこのコレクションの資料管理にあたっている担当者によるエッセイや、寺下勍氏のインタビューがあり、コレクションの成立や現状を知る手がかりになる。また、寺下氏作成の「日本の博覧会年表」は、開会日・閉会日・博覧会名・開催地・会場・主催・入場者数、という簡潔な項目ながら、このためにどれだけの資料探索の時間がかけられたのかを考えると、気が遠くなる代物。すごすぎる。
 もちろん、博覧会に関するモノだけを見ていても、博覧会というイベントの持つ歴史的・社会的・政治的・経済的意味合いがわかるわけではないのだけれど、それでも、その時代にそれぞれの博覧会が持った意味合いの一端を感じることはできるはず。日本近代史の副読本としても、ぜひお手元に。

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