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2005/05/28

2005年度日本図書館情報学会春季研究集会

 専修大学神田キャンパスへ、2005年度日本図書館情報学会春季研究集会を聞きに出かける。加入している学会のイベントには参加せずに、加入していない学会に出かけるとはどういう了見か、といわれると、なんともいいようがないのだけれど……。
 到着が、11時過ぎになってしまって、聞きたかった、Andrew B. Wertheimer「ASANO Shichinosuke and the Topaz Relocation Center Japanese Language Library, 1943-1945: Reading and Toshokan-mairi as Cultural Resistance」の最初を聞き逃してしまう。が、そもそも、英語のヒアリング能力が以前にも増してがた落ちになっており、ほとんど聞き取れなかったので、間に合っていようがなんだろうが、実は同じことなのであった。予稿が日本語なのがせめてもの救い。第二次大戦中の米国で、日系人収容所の中で日本語の資料を提供していた図書館について、残された僅かな資料と、オーラル・ヒストリーを駆使して明らかにした博士論文の概要を発表したもの、らしい。翻訳出ないかなあ。
 大場博幸「所蔵に影響する要素:市町村立図書館における新書の選択」は、どのように選書しているのか、ということを問わずに、ある一定期間に刊行された新書の所蔵点数(館数ではない)が結果としてどうなっているのか、ということに絞って分析した、という研究。ベストセラーと岩波新書が所蔵冊数の上位を占め、それ以外は、新書の創刊年や、日本図書館協会の選定図書速報との相関が高いという結果が出ていて、ほほう、という感じ。そこから問題を抽出する、ということについて、禁欲的すぎたような気もしなくもないけど、あえて踏み込まなかったことで、現象としての面白さ(?)が浮き彫りになったような。難しいところですな。
 で、一番面白かったのは、安井一徳「「選書ツアー」はなぜ批判されたのか 〜論争の分析を通して〜」。詳しくは要旨を読んでもらうとして、通俗化した要求論(発表者は「現場の理論」と表現していた。図書館員は資料を選んではいかん、リクエストにひたすら従うべし、というあれ)に対する、痛烈な問題提起になっていて、こりゃすごい。ちなみに、発表の元になった卒論もネット上で公開されていて、勉強になる(まだ全部読んでないけど)。質疑応答で、糸賀雅児先生が、「結局は、市民参加とパターナリズムの問題になるのではないか」といったようなことを言っていた(違ったかな?)けれど、パターナリズムを持ち出すのは問題をかえって見えにくくするような。どっちかっていうと、公共性を支える専門性のあり方とは、といった問い方をした方が生産的のような気がするなあ。
 といったあたりまで発表を聞いたところで、さっさと引き上げて、神保町界隈をふらふらしていたら、加藤一夫・河田いこひ・東條文規『日本の植民地図書館 アジアにおける日本近代図書館史』(社会評論社, 2005)が出ていて驚愕。早速購入する。これは早めに読まなくては。

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