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2005/09/24

華岡青洲研究史

 松木明知「華岡青洲研究史」『日本医史学雑誌』51(3) [2005] p.355-384. が、やけに面白い。
 基本的には、日本で初めて麻酔による乳がん摘出手術を初めて行なったということで著名な江戸時代末期の医師、華岡青洲に関する先行研究のレビュー論文なのだが、最も権威ある、とされている呉秀三の著作(『華岡青洲先生及其外科』)を、真正面から批判している。他にも、先行する研究の数々について、具体的にその誤りを指摘していて、おお、喧嘩売ってるなあ、という印象もなきにしもあらずなのだけれど、原資料に当たっている上に、当時の処方を再現した実験まで行なっているとあって、なかなかに説得力があったりする。
 こういう論争的な論文を掲載するのは、編集側にとっては、難しい判断を迫られるところかもしれないが、原資料や原論文にあたることの面白さを再認識させてくれる、という意味では、多分に意味があるんじゃなかろうか。
 余談だけど、文中、京都大学富士川文庫の中川修亭(国書基本データベースだと中川壺山(こざん)になってますな)『麻薬考』(京都大学電子図書館の全文画像へのリンク)は森立之筆録本で欠字も少なく、図も含まれた筋の良い写本といった説明があるのだけれど、京大電子図書館の画像で確認すると跋文に「森約之養真」とあったりする。ということは、「森立之」は間違いなんだろうなあ。校正ミスかな?
 この記述の部分は、宗田一による先行研究への批判につながっていたりして、なかなか刺激的なのだけれど、批判をしかける時にはちょっとした間違いが命取りになったりするのでは、と、他人事ながらちょっと気になった。
 とまあ、こんな具合に、世の中、電子図書館でひょいひょい原資料を確認できる時代になってきている。かつてに比べれば、原資料にあたることのできる可能性は圧倒的に開かれてきているはずだ。問題は、それが今一つ研究成果につながっていない、というところなのだけれど、このあたりにこれからの図書館員の役割を考えるヒントがありそうな気も。

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