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2006/07/22

古本通

 樽見博『古本通 市場・探索・蔵書の魅力』(平凡社新書, 2006)を読了。
 『日本古書通信』で編集者を長年務める筆者ならではの(特に東京を中心とした)古書業界についての解説(取引方法の変遷などなど)や、古書・古本の楽しみ方の紹介といった内容を、コンパクトにまとめた入門書的一冊……なんてことは、あちこちで紹介されているみたいなので、余計な話か。
 実用的(?)な情報だけではなく、再版本における装丁の変遷や、装丁者と著者、出版社との関わりを、著者の古本探索の経験に基づいて語る「古本探索の楽しさ」の章では、「研究」というものが、大学アカデミズムの外部のあちこちにごろごろ転がっているものだということを、分かりやすく示していて楽しい。実はここが本書の白眉かも。
 本書を読んでいて、何となく気になったのは、日本における「本」の代表は、何故「文学作品」(特に小説・詩歌)なのだろうか、ということ。古書価が高いのも、やはり文学系が多いような気がするし。本書は入門書だし、著者の関心も文学作品の周辺にある以上、ごちゃごちゃいっても無い物ねだりなのは承知しているけれど、「本」の世界が文学作品以外にも広がっていることを(目配せしていないわけではないのだけれど)、もうちょっと書いてほしかったなあ。
 それと思わぬ収穫は、『全国古本屋地図』の新版が出ない理由が説明されていたこと。なるほど。そういわれてしまうと、まあ、そうだよなあ、としかいいようがないのだが、せめて10年に一回くらい、紙の形でまとめておいてくれないものか。いや、これも無理筋の願いなのかもしれないけれど……。

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