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2006/07/09

デスマーチ ソフトウェア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか 第2版

 エドワード・ヨードン著,松浦友夫・山浦恒央訳『デスマーチ ソフトウェア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか 第2版』(日経BP社, 2006)をようやく読了。
 未だに読書時間の確保がろくにできず、前回更新からえらく間が空いてしまった。
 時間とか、体調とか、週末に出掛けてしまうと、ついついあちこちフラフラしてしまって夜まで帰ってこないとか色々重なってこういうことに……。
 今後は、心を入れ替えて更新したいところなのだけど、はてさて。あ、通信速度が遅くなった、という影響もなくはなかったんだけど、これは来週には劇的に改善される予定。
 というわけで、『デスマーチ』第2版。
 「デスマーチ・プロジェクト」という概念を広く世に知らしめた名著の全面改訂版だ。「デスマーチ・プロジェクト」というのは、「プロジェクトのパラメータ」が正常値を50%以上超過したもの……といっても何のことやらだが、要するに、スケジュールが本来必要な期間の半分以下、とか、予算が半分以下、とか、人員が半分以下、とか、達成すべき性能が2倍以上とか、そういうプロジェクトのことである。もちろん、そういう条件下でも成功するものはなくはないわけで、そういうものが「プロジェクトX」扱いされ、持て囃されたりするのだが、大部分は死屍累々となり、関係者は心と体に深い傷を負う結果に終ることになる。
 初版を読んだ時には、デスマーチ・プロジェクトという概念そのもの持つ衝撃力に圧倒されて、身も蓋もないがまさにその通りだ、と(自らの所属組織の状況を思い起こしつつ)思わず納得、かつ事態の救いようのなさを痛感させられた記憶がある。
 第2版では、若干印象が違う。著者の主張は、デスマーチに巻き込まれたら、とにかく生き残れ、そのためにできることが何なのかを考えろ、ということに尽きる。もちろん、実際にデスマーチに巻き込まれ、燃えつき、ズタズタにされた人たちを身近に見てきた著者にとって、それは切迫したメッセージなのだけれど、一方で、著者は一概にデスマーチを否定することもしない。
 「プロジェクトX」のごとく、何か画期的に新しいことをやろうとすれば、それはほぼ必然的にデスマーチ的なプロジェクトになってしまう。新しい可能性に賭けることまで否定してしまっては、元も子もない、ということだろう。それに、著者はこの第2版で、デスマーチは例外的なケースではなく、もはや常態であると指摘している。確かに、当り前にそこにあるものをただ否定してもどうにもならない。
 そんなこともあって、何となく、全体的に前向きな印象が強い(実は初版もそうだったのかもしれないが、どうしたわけか結構暗い話ばかりが頭に残っている)。だからといって、デスマーチの困難さが減るわけではないのだが、士気が少しでも下がることが大きなリスクになるデスマーチ・プロジェクトを乗り切るためには、この前向きさが必要なのかもしれない。
 本書の大部分は、デスマーチ・プロジェクトのプロジェクト・マネージャーになってしまったらどうするべきか、という問題に対する回答に費やされている。もちろん、どんなデスマーチ・プロジェクトでも解決することのできる、銀の弾丸は存在しない。考慮すべき問題と、大まかな方向が示唆されるだけではあるが、何もないよりははるかにマシなはずだ(もちろん、日本ではそのまま使えないところも結構あるので注意)。読んでいる暇なんてない、という場合には、政治と交渉に関する部分と、トリアージの部分だけでも、読んでおくとよいのでは。
 第1版もそうだったが、今回も、草稿段階のものを著者のウェブサイトで公開し、それに対して寄せられた意見を活かす、というやり方で執筆されている。巻末に、本文中でその一部が引用された意見の全文が収録されていて、このデスマーチ経験者たちの意見が泣ける。実は、この部分こそ必読かもしれない。

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コメント

少しゆとりができたのでしょうか。
さて、デスマーチね。予算が足りないとか、人が足りない、とかあっても、プロX的に成功するとすれば、それはリーダーが、たどりつきたい目標を明確に持っている場合だよね。
ところがわが社のデスマーチで言えば、予算や人の問題もあるかもしれないけど、そもそも、何を達成すべきかについて、ワカッテナイんじゃないの?一見きれいな作文だけして、実は地ならしもしてないし、ゴールも見えないところで「とにかくあっち方向に(でも、どっち方向だかよくわからない)」と走るようにお尻を叩かれているだけのような。

余裕はまだあんまりないですが、少しずつペースをつかもうとしている、といった感じです。

とりあえず、「わが社のデスマーチで言えば」目標の共有がとことんできていない、とは言えるのかも。少なくとも、今、取り組まなければならない問題の優先順位について、ある程度合意ができれば、また違ってくると思うのですが。

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