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2006/08/22

新宗教と巨大建築

 五十嵐太郎『新宗教と巨大建築』(講談社現代新書, 2001)を読了。
 ここのところ、月一回、天理図書館の「教祖120年祭記念展」に出掛けているのだが、毎度毎度、独特の建築と、イベントの規模に圧倒されている。そうはいっても、天理教のことをまったく何も知らないよなあ、と、ふと思ったことろで、本書が積ん読になっていたことに気がついたのだった。
 何とおあつらえ向きに、最初に取り上げられるのが天理教。まあ、新宗教で建築、とくれば、出てきて当然といえば当然か。主題は建築なのだけれど、教団の歴史や教義と建築との関係を論じるために、背景情報が豊富に盛り込まれていて、勉強になる。
 で、さらに読み進めてみると、金光教も取り上げられているではないか。ふーむ、こういう宗教だったのか。実は祖父が熱心な信者だったのだが、我々に押し付けることが全然なかったため、どんな宗教だったのか、これまでまるで知らなかったのだ。今さら悔いてもしかたないが、もっと前に読んでおくべきだった一冊だったかもしれない。
 その他にも、大本教、黒住教、創価学会、パーフェクトリバティ教団(PL教団)、真光教、神慈秀明会(の建設したMIHO MUSEUM)など、それぞれ割かれているページ数の多寡はあるものの、知っているようで知らなかった幕末から近代にかけて創始された新宗教と、その建築の世界が次々と展開される。各宗教から枝分かれした分派教団についての記述があることも特徴で、それによって、教義の差異が建築に与える影響をよりくっきりと浮かび上がらせている。一つの場所を中心に世界(と建築)を組み立てていく天理教を一つの基準点にして、各宗教を比較しつつ論じていることもあって、建築を通じた一種の比較宗教学的な趣も。
 いわゆるポストモダン風、神社建築風に関わらず、それぞれの宗教建築の空間構成には、各宗教独自の世界観が反映されていることが論じられる一方、同時代の建築と比較してこれまで不当に無視されてきた建築群の再評価を図ろうとする姿勢は明解。といっても、近代建築史に不慣れなので、今一つその主張の新奇さがわからなかったりするのだが(いわれてみれば、現代建築の宗教絡み作品として普通に扱われているのは、キリスト教の教会建築だけ、という気はするけど……)。
 本書は、著者の博士論文を元にして、新書向けにまとめなおしたもの、とのこと。文章としてはところどころこなれていない感じが残っていたりするのは、そのためかもしれない。とはいえ、新宗教についての紹介というと、各教団が布教のために公刊しているものか、逆に脱会者などによる批判のためのものかのどちらかばかりになりがち、という中で、どちらにも偏らずに距離感を保ちつつ、各教団が作り上げた独自の建築を評価する、という著者の位置取りは独特のものだと思う。新宗教について知りたい時に、入口としては最適の一冊かもしれない。
 それにしても、天理教による都市計画「おやさとやかた計画」のスケールには驚いた。まだまだあんなものでは終らないのか……。

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コメント

それだけの建造物と土地を購入出来ると言う事は、
金を払う側の信者にどれだけの苦労が或か?と言う
因縁が見えて来る。事実、毎月三千円は、新規の信者や大学生の御繋ぎで、私は毎月13万円払い(居候代が半分だが・・、)、教会の墓の建立に150万払い、屋根の改修で100万払い・・限が無い程金を取られて、
御袋は酔っ払った教会長に折檻され私は三代目の浮気の隠蔽工作の為に呪で殺されかけて会社を乗っ取られた。(詳細はURLで・・)

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