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2008/10/27

今によみがえる林靖一

 たまたま、金沢文圃閣の広報(?)誌(紙)、『文献継承』の第11号(2008年2月発行)を入手。小林昌樹「今によみがえる林靖一(1894-1955)−日本における開架の本当の始祖」(p.1-5)を読んだ。えらく、面白かった。
 盗難があることを前提とした「持続可能な開架」という課題に戦前取り組んでいた林靖一の業績について簡単に紹介しつつ、なぜその業績が忘れられたのかを(そして、それでもなお、林の系譜は戦後の資料保存論につながっていることを)語った小文。戦前の図書館人による蓄積を、戦前だから、という理由で切り捨てることが、いかに愚かなことかが、しみじみとよくわかる。
 林という人は、理想を追いつつも、現実の法制度の中で実在するリスクをどう扱って行くのか、という問題に正面から取り組んだ人なんだなあ。爪の垢が残ってたら、煎じて飲みたい感じ。

2008/10/07

月光に書を読む

 鶴ケ谷真一『月光に書を読む』(平凡社, 2008)を読んだ。『日本古書通信』読者は必読っていうか、正確に言うと、比較的読者歴の短い読者には必読かと。
 様々なテーマを軸に古今東西の様々な著作をめぐるエッセイである前半「月光に書を読む」や、随筆の名手、岩本素白について語る「素白点描」も味わい深いが、何といっても、本書の後半約半分を占める「読書人柴田宵曲」が白眉。
 柴田宵曲の著作は、最近、ちょこちょことその著作がちくま文庫に入ったりしていて、何となく読んでいたいたのだけれど、いったいぜんたい、何をしたどういう人だったのか、さっぱりわからないままだったのが、ようやく氷解。子規庵との関わりとか、こういうことだったのか。三田村鳶魚の著作とか、ほとんど柴田宵曲が口述筆記してまとめたものだったとか、別の人の名前で著作が刊行されても別に怒るでもなく、淡々としていたとか、そんな話がいろいろ。著作権とか、そんな話は、まったく超越したところにいた人だったんだろうなあ。
 というわけで、柴田宵曲って、何となく名前を見るけど、この人は誰、と思った人は本書を読むべし。
 しかし、初出が出てないけど、この本、全部書き下ろしなのかなあ。こういう本を書き下ろしで出しているとすれば、平凡社(特に担当編集者の方)偉い、と思ってしまった。

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