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2014/03/22

内閣文庫と昌平坂学問所旧蔵書

 先日、ちょっとした家庭内レファレンスで苦労したので、その過程を忘れないようにメモしておく。
 内閣文庫の林羅山の展示(平成25年度連続企画展「江戸幕府を支えた知の巨人-林羅山の愛読した漢籍-」 http://www.archives.go.jp/exhibition/jousetsu_25_6.html)がきっかけなのだが、相方から「昌平坂学問所の資料ってどういう過程で内閣文庫に入ったんだっけ」との疑問が出された。
 二人ともまずは長澤孝三『幕府のふみくら』(吉川弘文館, 2012)があれば手掛かりが何か書いてあるかもしれない、というのは思いついたのだが、こういう時に限ってどこかに埋れてしまって、出てこない。
 やむなく、他に何かあったかな、という家捜しが始まった。
 まずは、『日本古典籍書誌学辞典』(岩波書店, 1999)を見てみたが、林羅山や昌平坂学問所などの項目には資料の来歴についての記述はあまりない。
 しかたなく、本棚を漁ると、現在は内閣文庫に資料が受け継がれているという点で共通項がある福井保『紅葉山文庫 : 江戸幕府の参考図書館』(郷学舎,1980)が出てきたが、当然ながら昌平坂学問所の話は出てこない。
さらに本棚を漁っていたら、長澤孝三編・発行『内閣文庫思い出咄』(2001)が出てきた。これには、『内閣文庫沿革略』(内閣文庫, 1970)が再録されている。で、見てみると、
「維新後は、大学・書籍館・浅草文庫など数次の変遷を経て、明治十七年に太政官文庫に移管された。」
との記述が出てきた。太政官文庫=内閣文庫で大体大丈夫なはずだし、まあ、これでよいかな、と思い、一安心。
 しかし、この記述を見た相方からは、これでは「など」がどうなっているのか分からないではないか、との反応が…
この時点でもうすぐ日付が変わる時間帯になりつつある。早く風呂入って寝たいのに、何だこの細部に対するこだわりは、ニューなクラシックとかにブログが転載されたり、原稿載ったりする野菜な人たちの影響か、おのれ野菜め、とよく分からない逆恨みをしつつ、そう言われると自分も気になるので、もうちょっと調べてみることにした。
 今度は、直接答えは出なくても、何を見れば分かりそうかが分かるだけでも良いか、と戦略を変えることにして、鈴木俊幸編『増補改訂 近世書籍研究文献目録』(ぺりかん社, 2007) を見てみた。この目録、索引がないので、目次で当たりをつけるしかない。見ると「9.享受」のところに、「9.2 蔵書」があり、「昌平黌」の項目が立っている。おお、これだな、と見てみると、そのものズバリ、というのはなさそうだが、小野則秋「昌平坂学問所文庫の研究」がそれっぽい。まあ、ここまでか、と思ったところで、ふと気がついた。あれ?小野則秋なら、『日本文庫史研究』(臨川書店, 1988(改訂新版第三刷))が、あったような…と思って見てみたら、下巻の第二章が「昌平坂学問所文庫の研究」で、その第七節が「余論−維新後における昌平黌の旧蔵書」ではないか。
 というわけで、これでかなり詳細が判明。大枠としては先の『内閣文庫沿革略』の記述で良いのだが、大学の前後がかなり錯綜していることが分かった。一方、浅草文庫から太政官文庫に入るまでの間の経緯は、小野則秋の記述でもはっきりしない。ただ、その日はこれで諦めることにした。
 その後、さらに、樋口秀雄「浅草文庫の創立と景況」参考書誌研究 (4), 1-9,図巻頭2p,[1972年3月] http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3050876_po_04-02.pdf?contentNo=1 を見てみたら、浅草文庫後の経緯が詳述されていた。こりゃなんともややこしい。内務省と農商務省に、陸軍まで絡んで、綱引きが行なわれていたわけだ。さらに、小野則秋がやや詳しく書いているように、特に貴重な典籍は宮内省図書寮にも移しているわけで、こりゃよくわからない訳である。

 こういったことは、実は何か別の資料を見ると、簡単に分かることなのかもしれないが、後で何かの参考になるかもしれない(ならないかもしれないが)ので、メモとして残しておく。

(2014-03-22 21時ごろ追記)
 野菜の人から、この論文を読め、という指令、じゃなかった、ご教示をいただいたので、追記しておく。



NDL-OPACだとこちら。
http://id.ndl.go.jp/bib/3590580
Cinii Articleだと……おっと、今日は電源設備工事中だったか。残念。

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