MOTアニュアル2004
東京都現代美術館の特別展『MOTアニュアル2004 私たちはどこから来たのか/そしてどこへ行くのか』(会期:2004年1月17日〜3月21日)を見に行ってきた。
「アニュアル」というのは、毎年、気鋭の作家数人(今回は8人)の最近の作品を取り上げる企画展。個展でも大量に人が押し寄せて来る、というほどメジャーではないけれども、今が旬、という作家の作品を、まとめて見ることができるおいしい企画である。ただし、本来は、こういう企画と作品購入がリンクしているべきなのかもしれない(そうすれば、自然に現代美術に関する結構いいコレクションが構築されていくはず)。とはいえ、今のMOTにそんな金はないんだろうなあ。
で、中身だが、どの作品も、MOTの広い展示空間をどう使うのか、ということに気を配っていて、展示室を移動するたびに、うひゃあ、とさせくれて面白かった。といいつつ、強く印象に残ったのは、小瀬村真美の時間早送り型コマ撮りアニメーション・インスタレーション「黴−SWEET SCENT」とか、贋江戸+現代風刺+メカ+絵巻表現の山口晃の諸作品とか、三浦淳子の80過ぎても少女時代の女の友情は死なずドキュメンタリービデオ「琵琶の実待ち」(「マリみてファン必見」by妻)とか……いかん、全然、現代美術的視点(?)で見ていないことがバレバレだ。
今回、『現代美術史日本篇』という、日本の現代美術史をMOT収蔵作品を中心に語っていくという小冊子を展示(ただし、まだ未完成。2月上旬に完成予定とのこと)していた中ザワヒデキ(デジタルネンドの人だったのか、と初めて知ってびっくりした)のアーティスト・トークがあったので、それも聞いてきた。日本の現代美術は、常にアメリカという中心に対する反応でしかないという指摘とか、でも、(歴史として語る場合には)物語的には楽しめる、といった話が面白かった。客席からの質問が、自分の考えを支持する回答を得ようとするかに聞こえるものが多かったのにはちょっと閉口したが……。
ちなみに、図録はまだできていなかった。展示の方法自体が作品の一部ともいえるので、図録には展示された状態の写真不可欠。で、以前は別冊を後から出す、という方法を採っていたと思うのだが、今回はそういう贅沢な(?)やり方はできなくなってしまったのだろうか。図録がその場で欲しい人は、もうちょっと待ってから行くのが正解(急がない人は、予約して、送料込みで払えば郵送してもらえる模様)。
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