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2004/01/04

熊野古道

 小山靖憲『熊野古道』(岩波新書, 2000)を読了。
 年末は、だらだらと『マリア様がみてる』の残りを最新刊まで読みふけっていたのだが、その話はまたその内に(次の新刊が出たときにでも)。
 本当は、里帰り移動時間に何冊か読めるだろうと思っていたら、電車の中でうとうとしてしまって読了したのはこれ一冊になってしまった。
 少なくとも平安時代から存在していたと考えられる紀伊半島の参詣路にについて、古代から中世にかけての参詣記を中心に、著者自身による現状踏査をふまえて解説した一冊。特に、本来の「古道」としての姿を楽しみたいと考えている人にとっては、著者自身の経験と、歴史的な検証を組み合わせた、古道歩きガイドとしても有用だろう(地図は少ないので、他のガイドブックとの併用は必須だが)。
 ちなみに、個人的には、最近の神社再評価の動きには、近代をすっとばして本居宣長とつなげているような危うさがあって、それは違うだろう、という感じを受けている。本書では、神仏習合、本地垂迹についても、きちんと抑えているので、安易な「日本古来の神道」幻想とは無縁ではあるけれども、近代に関する記述はほとんどないのが、やはり物足りない。
 神道の問題を考える際には、神仏習合と近代の国家神道の問題は避けて通れないと思うのだけどなあ。今の神道に刻印されている近代性に自覚的な金刀比羅宮みたいなところ(ちなみに今、金刀比羅宮でやっているイベントは、大原美術館と組んだ「ポロック以降・アメリカ現代美術展」だったりするし、今年は「皇紀二千六百六十四年」である)の方が、ある意味、まっとうな気がする。

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