東洋文庫名品展
東洋文庫名品展(会期:2003年12月23日〜1月12日 会場:丸の内ビルディング7階 丸ビルホール)を見てきた。仕事帰りに行ったこともあってか、すかすかというほどでもないが、比較的空いていて、ゆっくり回るにはいい環境だったかもしれない。
千代田区江戸開府400周年記念事業実行委員会が主宰者に入っているためか、江戸期の錦絵が中心。今回新出の資料がごろごろしていたり、やたらとどれも保存状態がよかったりするのがすごいが、東洋文庫の特徴である「東洋」という視野の広がりがこれでは全然見えてこないのでは。なんだかもったいない気もする。せめて、もうちょっと冊子を出してもよかったのでは、というか、見たかった、というのが本音ではある。東洋文庫にとって、「江戸」はテーマとして狭すぎたのでは。
図録は図版満載で2000円とお買い得。図版の色の調整が甘い気がしなくもないが(ちょっと黄色がきついのでは?)、まあこの値段なら許せる範囲か。巻末に詳細な解説も付されていて、展示だけでは分からないことがいろいろ書いてあったりする。人の流れを止めてしまう可能性もあるので、やたらと展示に解説キャプションを付けられない、というのもわからないでもないが、こんなにいいネタがあるならもう少し付けてくれても……と思ってしまうほど。
展示について文句をつけるとすれば、1485年刊のアントワープ版『東方見聞録』の展示キャプションに、テキストの成立年代である1295年を出していたのは誤解を招くのでは。刊行年を示すべきではなかろうか。とはいえ、実物が見られたのはうれしいので、あまり文句をつけてもしかたないかもしれない。
« 図書館でミュージカル | トップページ | お兄ちゃんと一緒 »
コメント