デザインは言語道断!
川崎和男『デザインは言語道断!』(アスキー, 2004)を読了。
デザイナーである著者によるMacPowerの連載エッセイの単行本化もこれで四冊目。今回は、1998年5月号から2001年1月号掲載分までが収録されている。
挑発的な発言(初代iMacを批判したのもこの時期)は相変わらずだが、名古屋市立大学の教授として多忙を極めた時期だったせいか、体調の不調について触れている文章が多い。世紀の変わり目を前に、(これまでの三冊と比較すると)どこか重苦しさがただよう。著者の父親の死に際して書かれた一文も、あまりに痛々しい。
にもかかわらず(あるいは、だからこそ、かもしれないが)、デザイナーとして、教育者として、成すべき(成したい)ことがある、という意志が強烈に文面に現れている。この強烈さこそが、著者のエッセイの魅力ではなかろうか(強烈な分、嫌いな人は嫌いかもしれない)。
「ユニバーサル・デザイン」という言葉が流行り出した時期でもあり、著者のユニバーサル・デザイン観が(断片的にではあるが)書かれている文章も多い。自らが障害者であることを強く自覚しつつ、それを売り物にすることはしない(喧嘩の武器にはしているようだが…)著者ならではの視点は、ユニバーサル・デザインに関心がある向きには参考になるのでは。
ちなみに、タイトルの「言語道断」は、もともと仏教用語として持っていた「言葉で説明しつくせない」という意味で使われている。あえて挑発的なタイトルに見えるように計算されているところが、心憎い。
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