第11回東京国際ブックフェア
東京ビックサイトに、第11回東京国際ブックフェア(会期:2004年4月22日〜25日)に出かけてみた。最終日だけあって、それなりの人出。
りんかい線の国際展示場前駅を降りると、妙に小洒落た娘さんたちがたくさんいるので、なんだろうと思ったら、ビックサイトの西側は、丸井の会員限定バーゲンだった模様。やけに濃い感じのおたくな男子青年たちもちらほらしていたので、こっちはなんだろう、と思ったら、よくわからない美少女キャラクターフェアをやっていたらしい。あと、親子連れが結構いたのも不思議だったのだが、こちらは、ブックフェアの児童書コーナーが目当てだった模様。
一応、目的はブックフェア内のデジタルパブッリッシング・フェアを見に行くことだったので、最初にそのあたりをうろうろ。マイクロテックのブースで、自動頁めくり機能つきスキャナのデモ(映像だけだったが)を眺めたり、富士通関西中部ネットテックのブースで、マニュアル作成・共有システムのデモを見たりと、一応、仕事モード。
ふと気がつくと、新潮社、講談社、筑摩書房、NTTソルマーレ、東芝、ボイジャーの共同出展ブースでは、富田倫生が、本をデジタル化し、それを共有するということが、どういう意味を持ちうるのかを、熱く語っていてびっくり。公共性、という意味では、既に青空文庫はこれまで図書館が果たしてきた役割を乗り越えつつあるのかもしれないなあ。などと思いつつ、買いそびれていたエキスパンドブック版『パソコン創世記』が安かったのでつい購入してしまう(MacOS Xでもclassic環境で動くので一安心)。あと、青空文庫専用ビューアーのazur体験版付の青空文庫データ集CD-ROM『これ一枚「蔵書3000」』も応援の意味も込めて購入。
デジタルパブッリッシング・フェアをざっと眺めたおかげで、携帯電話や独自端末、あるいはPC用の専用ソフトを使用した、各種電子ブック規格が乱立中、という状況なのがよくわかった。図書館屋的には、これではどうにも手が出せんなあ、という印象。独自端末も触ってきたけれど、松下よりソニーの方が出来はいい感じ。ただ、独自の規格とビジネスモデルにこだわりすぎのような気も。何にしても、まだまだどうなるかわからない、ということがわかっただけでも収穫か。とはいえ、電子出版物自体はどんどん出てきてしまうわけで、いったいどう対応すればいいのやら。うーむ。
あ、それと、凸版印刷とアドビシステムズが、並んで結構いい場所のブースを確保した上に、コンパニオンの娘さんたちを大量投入していたのが印象的(あれ? 大日本印刷もだったかな?)。出版社も書店も青色吐息の一方で、印刷と編集ソフトウェアという、出版のインフラ部分を握っている業界は結構、余裕がある、ということなんだろうか。
そのあと、ブックフェア本体の方に移って他のコーナーも眺めてみたが、海外からの出展組のところは閑散とした感じでなんだかなあ、という印象。ざっと眺めただけだけど、アジア各国の出版社のブックデザインは、すっかり洗練されていて驚いたり。一方、国内の大手出版社は、軒並み20%引き販売を各ブースで展開。日曜日のせいもあってか、一般の入場者が群がっていた。書店関係の参加者(一応、この東京国際ブックフェアは、出版社と書店との間の商談会を兼ねているはずなのだけど……)は、この状況をどんな気分で眺めていたのやら。自由価格本だけならまあわかるけど、新刊書を20%引きでガンガン売るのはどうなんだろう。
結局、普通の新刊は(人が多すぎて近づけなかったのもあるが)買わず、日本書籍出版協会のブースで『図録 日本出版文化史展 '96 京都 百万塔陀羅尼からマルチメディアへ』(日本書籍出版協会, 1996)を信じがたい安値で購入。ちょっと得した気分。もう一冊は、文化通信社のブースで、金子晃・他『英国書籍再販 崩壊の記録 NBA違法判決とヨーロッパの再販状況』(文化通信社, 1998)を、これまたすごい安値で購入。どっちもいい本だと思うけどなあ。
余談だけど、(偉い)関係者のことを「VIP」と呼ぶのはどんなものか。ちょっと感覚的についていけない感じもする。
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