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2004/04/18

国立公文書館所蔵資料特別展 激動幕末−開国の衝撃−

 国立公文書館所蔵資料特別展「激動幕末−開国の衝撃−」(会期:2004年4月3日〜4月22日)を見に行ってきた。
 相変わらず入場無料で解説目録も無料。独立行政法人化されたことで、変化があるかと思っていたのだけれど、広報の一環として、所蔵資料展示の重要性は増しているのかもしれない。
 会期中最後の週末だったせいか、かなりの盛況。新撰組がNHK大河ドラマに取り上げられている今、「幕末」というテーマ選択も、時宜を得た、ということかもしれない。
 解説には書誌的な記述がないのでわかりにくいが、内閣文庫の資料だけあって、刊本も写本も状態のよいものが揃っている(……と思う)。『環海異聞』『海国図誌』『万国公法』といった、外国船来航や海外情報収集に関する著名な資料群を中心に関連する資料群を紹介すると同時に、小笠原諸島の「回収」(イギリス人が入植していたが、領有を主張できる歴史的根拠を踏まえて、日本の領土とした)関連資料や、吹き荒れたテロの様子を伝える資料(新撰組関連の文書もあり)なども展示。幕末の状況を多面的に表現しようとする意図がうかがえる感じ。
 個人的には、洋学の勃興によって危機を迎えていた昌平坂学問所(幕府の学問所)関連の文書に興奮。当時の試験問題など、あまり知られていない(というか、私が知らないだけかもしれないが)、江戸期の学問の実態を伝える資料群が展示されていた。こんなものが残ってるんだなあ。
 ちなみに、何故か内閣府賞勲局による「我が国の栄典制度」も同時開催。何故、今? 正直、意図がよくわからないのだけれど……。それにしても、「文化勲章」の制度が制定されたのが昭和12年(1937)というのは、時代状況を考えると意味深だなあ。
 あ、あと、『内閣文庫蔵書印譜 改訂増補版』(国立公文書館, 1981)がまだ購入可能というのにびっくり。慌てて購入。ちなみに、今回の展示でも、様々な蔵書印(って何? という方は国立国会図書館の電子展示会「蔵書印の世界」をどうぞ)を見ることができた。いくつか読めなかった印文も、この蔵書印譜を見れば一発で解決。ありがたや。書誌学に関心があって、財布に余裕のある人は、入手しておくべし。

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『環海異聞』も展示します。

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