チキンパーティー(1)
金田一蓮十郎『チキンパーティー(1)』(秋田書店PRINCESS COMICS, 2003)が何故か増刷されて(3版だそうな)近所の本屋で平積みされていたので、買ってみる。『ハレグゥ』とはまた違った印象ですな。
事実上一人暮らし状態の主人公の中学生女子(14歳)の家に、謎のトリの着ぐるみ(?)野郎が突然現れてなし崩しで同居することに……という話。トリの前向き思考の違和感と、人とトリの絵としての文法(というか、画法というか)の差異をネタにしたギャグといえばいいのかな。
キャラクターが増えていくにつれて、何となく疑似家族的なつながりが描かれるようになっていくのが、個人的にはポイント。母親の不在という設定と、こういうキャラクターが違和感なく組み合わさってしまうところが、時代なのかもしれない。まあ、家族の中に猫型ロボとかお化けとかが入り込む、というのは昔からあるわけだけど、家族不在のところに入り込んで家族になっていく、といくところが、今の作品、ということなのかなあ。
なんことを考えていたら、『pass the note around』さんの「大草原の小さな家を出て、魔女の奥さまがいない世界で生きる」(いつもタイトルのつけ方がかっこいいなあ)で、家族というつながりが「公的なるものの私的領域への介入と平行して生み出されたフィクション」だという話が書かれていて、フィクションにおいて家族的なつながりが、異形のもの(?)との間で描かれる、というのが、今の様々な制度のあり方とどうリンクしているのだろう、とちょっと考えたりして。
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