ITマネジメントの常識を疑え!
角田好志『ITマネジメントの常識を疑え!』(日経BP, 2004)を読了。日経BPのWebサイト、nikkeibp.jpに連載されていた(当時は日経BPのサイトはいくつかのグループに分かれていて、これはBizTech、というところに掲載)、「検証:ITキーワード」を加筆の上で単行本化したもの。
Windows、JAVA、Webサービス等について批判的な(オープンソースには基本的に甘いけど)視点からの検証を加える、という一冊、なのだけれど、最大の特徴はWebでの連載時に読者から寄せられたコメントをそのまま単行本に収録しているところ。賛否両論、激しい意見のやりとりが行われているテーマもあれば、ちょっとした感想だけ、という場合もあって、精粗の差はかなり大きい。とはいえ、全体として、コメントとしての質が異常に高いのがすごい。もちろん、取捨選択も加わっているせいもあるだろうけれど、日経BPというブランドと、コンテンツとして再利用される可能性がある、という前提がそれなりにものをいっているのかもしれない。コメントの質の高さは、日経BPのWebサイト全体にいえることのような気がするのだけれど、とりあえず、その見本としては、本書は最適。
内容的には、「ブラックボックスによろしく」、「e-Japanラプソディー」あたりが、挑発的でコメントも読みがいがあるかと。「情報システムを知らない経営者は、会計を知らないのと同じ」も、コメントは今一つ少ないが、内容的には結構刺激的。
そんなもん、Webで読めばいいじゃないか、という話もあるかもしれないが、紙のみの加筆部分もあるし、正直なところ、まだ紙の方が読みやすい(画面でも読めなくもないけど)。まあ、こういう感覚の人がそれなりの人数いる限りは、Webで公表されたものを紙で出版する、というモデルは当分生き残るのかもしれない。出す方はそんなことは何も考えていないかもしれないけど、図書館屋的には紙の方が後世に残りやすい、というメリットもあることだし。
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