宇田川興斎の写真
津山洋学資料館の「友の会だより」(No.45 [2004年7月])をパラパラと見ていたら、「資料探究 早稲田大学図書館特別資料室洋学文庫で発見! 宇田川興斎の姿明らかに」なる記事が(p.8に掲載)。今まで知られていなかった、宇田川興斎の写真が発見されたとのこと。
津山洋学資料館は、大正9年(1920)に妹尾銀行津山東支店として建てられた和洋折衷建築を活用した、津山藩の洋学者・蘭学者の業績を中心に扱う博物館で、小さいながらも、継続的かつ充実した活動を続けている(やはり予算は厳しいようだけれど、何とか乗り切ってほしい…)。実は、一度しか行った事がないのだけれど、以来友の会には入会している。会員に郵送される「友の会だより」には、時々こういう記事が掲載されるので見逃せない。
宇田川興斎(1821-1887)といっても、知っている人はほとんどいないだろうけれど、西洋の化学・植物学を初めて日本で体系的に紹介した宇田川榕庵の養子であり、西洋植物分類を本格的に適用した日本最初の植物図鑑『草木図説』の飯沼慾斎の実子、という人物だったりする。これまで肖像画も写真も知られていなかったのだけれど、今回の写真が発見されたことで(図版を見る限り、あまり状態はよくないみたいだが)、その顔形が初めて明らかになったらしい。
写真が発見された早稲田大学図書館の洋学文庫といえば、洋学・蘭学の研究者の間では知らぬものとてない存在のはずなのに、どうして今ごろ新発見資料が出てくるのか、と思っていたら、「これまで発行された所蔵目録以後に整理されたようで、写真の存在はまったく分からず仕舞」だったとのこと。うーむ、目録だけでコレクションの全貌をわかったつもりになってちゃいかん、ということか。
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