CM原版の廃棄問題
『Copy & Copyright Diary』や『広告業界就職ノススメ』などでも触れられているが、1985年以前のCM原版の廃棄が進められている。(2004年9月22日の朝日新聞、およびasahi.comで報道あり)
9月26日(日)には、この状況を受けて、広告労協(全国広告関連労働組合協議会)主催で、「倉庫で眠る"お宝"CMの戦略的活用に向けて〜CM原盤廃棄問題を契機に、CMアーカイブの必要性を考える〜」と題する公開ディスカッションが行われた模様(所用で参加できず。残念)。反響はどうだったのか……。
廃棄が行われた背景や、問題点については、「テレビCM史研究拠点」の「CM原版の廃棄問題について」が参考になる。このページで紹介されている、東京国立近代美術館フィルムセンターへの移転の提案に対するJAC(日本テレビコマーシャル制作社連盟)側の反応は、著作権意識の歪みを象徴しているようで、なんとも。作品に関する権利を守るために、当の作品を廃棄してしまう、ということに何の矛盾も感じないのだろうか。
いきなり趣味に走った話になってしまうのだけれど、CMフィルムが、日本のアニメーション史にとっても重要な資料であることは、例えばWEBアニメスタイルの平田敏夫インタビューや、小原秀一インタビューなどを読んでも明らかだろう。単に、CMとして「名作」と認定されたものだけに価値があり、他は捨てていいというロジックでは、多様な角度からの研究の可能性は閉ざされることになる。今後の研究がいかに貧弱なものになってしまうかを考えるとかなり暗い気分。何とかならんものか。
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