INFOSTA、UDC事業から撤退
情報科学技術協会(INFOSTA)の会誌『情報の科学と技術』vol.54 no.11 (2004)の巻末(ページ付けなしの計3頁。後で引用するとき困る人がいるような)に、石川徹也「UDC事業の撤退に伴うお知らせ」が掲載されている。忘れないうちに、とりあえずメモ。
最近の『情報の科学と技術』の、特にINFOSTAの運営関係の情報のところをよーっく読んでいた人には、UDC事業からの撤退は結構前から決まっていたことだというのは自明のことかもしれないけれど、きちんとその背景を説明する文章が掲載されたのは初めてだと思う。
UDCというのは、国際十進分類法(Universal Decimal Classification)のこと。もともとは、十進分類法のご本家(?)デューイ十進分類法(Dewey Decimal Classification)をベースに、国際ドキュメンテーション連盟(International Federation for Information and Documentation、略称はFID)が、維持管理していたものなのだけれど、FIDは財政事情から撤退、1990年からは、UDCコンソーシアム(UDC-Consortium、略してUDCC)が維持管理を引継いでいる。
で、各国1団体、ということで、独占的にUDCの出版・販売を行うことになっていて、日本ではそれをINFOSTAがやっていたのだけれど、要するに、ペイしなくなってしまったわけだ。INFOSTAの跡を引継ぐ団体もないようで、日本語訳のUDCは、以後、UDCCから直接入手するしかない。次の版の翻訳版は(引き受ける団体が現れなければ)出ないことになりそうだ。
そもそも、母体だったFID自体もわけがわからない状態になっているようだし(私が知っているのは、2001年IFLAのDiscussion Group on Information and Documentation at Bostonまで。その後どうなったんだろう?)、この手の事業も、色々曲がり角に来ている気がする。
UDCの、「Universal」が、欧米中心だ、という問題もあったらしく、この「UDC事業の撤退に伴うお知らせ」では、日本側から東洋医学に関する詳細な体系を提案したが、「東洋医学はUniversalではないので検討を継続する」とされたまま、ほったらかしにされている、という事例が紹介されている。なんだかなあ。
同じ号の『情報の科学と技術』の巻末広告には、UDCのCD-ROM版、冊子版とともに、I.C.McIlwaine著、中村幸雄・他訳『UDCの使い方 国際十進分類法の利用と応用』(情報科学技術協会, 1994)も絶版、とのお知らせも掲載されている。権利関係上、しかたないのだろうけれど、UDCについて日本語で知る方法自体もなくなっていく、というのはなんというか……。
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