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2005/03/21

中国の版本 宋代から清代まで

 今日は静嘉堂文庫美術館に「中国の版本 宋代から清代まで(静嘉堂文庫の古典籍 第5回)」(会期:2005年2月19日〜3月21日)を見に出かける。
 最終日ということで、混んでたらどうしよう、と思ったけれど、やはりテーマが渋いためか、結構、落着いた雰囲気。といっても、貸し切り気分になるほど人がいないわけでもなく、それなりに人の出入りはあったような気がする。
 静嘉堂文庫といえば、東洋古美術品でも知られているのかもしれないけれど、図書館屋的には、やはり漢籍のコレクションがまず頭に浮かぶ。もちろん、日本の古典籍もいいのがたくさんあるのだけれど、宋版・元版といったレアな中国の古刊本のコレクションはとにかく一級品。これまでも何回か展示されたことがあって、ここ数年の間でもこれが何度目かの展示だと思うのだけれど、重要文化財に指定されたものがゴロゴロ並んでいるのは、やはり圧倒的。
 サブタイトルに「宋代から清代まで」とあるとおり、中国において印刷出版の形態がほぼ完成された宋代以降、清代までを中心に、中国における印刷技術の歴史を辿る展示になっていた。活字本や多色刷りなど、多様な印刷技術の成果もあり。例外的に、『永楽大典』や『四庫全書(文淵閣本)』など、王朝による編纂事業の成果を示す写本も展示されていた。
 今回、解説目録はなく、展示品リストが無料配布されていただけだったのだけれど、実は先日刊行された、米山寅太郎『図説中国印刷史』(汲古書院汲古選書, 2005)が、この解説を兼ねている、というか、この本の美味しいところを実物で見せちゃおう、というのが今回の企画だった模様。
 著者は静嘉堂文庫の文庫長で諸橋大漢和編纂にも協力した、という人物。(今は亡き)『しにか』に1992年(平成4)4月から1995年(平成7)3月にかけて連載された(序文による。現物は確認してないです)ものをベースに、慶応大学の高橋智助教授の協力を得て一冊にまとめた、とのこと。『しにか』の連載自体が、「静嘉堂文庫の架蔵披露」も兼ねていたようなので、中で紹介されている資料の大部分が、静嘉堂文庫所蔵なのは当然といえば当然なわけですな。
 ……ということを、行く前に知っていれば、先に入手して読んでおいたのになあ。会場でこの本を購入、家に帰ってからバラバラと見て、やっと気がついたという体たらく。せめて会場で見ておけば……。
 ちゃんと本を事前に読んでいた人は、より深く展示を楽しめたはず。そうか、あのあたりは出版主体別に並べてあったのか、とか、あれで見せたかったのはもしかしてこのことか、とか、斜め読みをしているだけでも、見るべきところを全然見ていなかったことに気付かされてしまって唖然。ああ、もったいないことをしてしまった。というか、そもそもが勉強不足ってことか。あと、開催期間の前半と後半でかなり展示の入れ替えがあったようで、その点でももったいないことをしたかも。
 古典籍関係の展示、次はいつかなあ。今度は(ちょっとは)予習して行きたいものである。

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