大正・昭和 女学生らいふ展
昨日は、弥生美術館へ「大正・昭和 女学生らいふ展」(会期:2005年4月2日〜6月26日)を見に行く。併設の竹久夢二美術館で同時開催の「竹久夢二 四季への讃歌」展(会期:2005年4月2日〜6月26日)も。
ギャラリートークに時間を合わせて行ったので(ちょっと遅刻したけど)、学芸員の方の話を聞きながら展示を眺める。結構、人が集まっている上に、その性別・年齢層も色々で、戦前期の少女文化に対する関心が結構広がっていることにちょっとびっくり。
「女学生らいふ展」の方は、サブタイトルが「少女雑誌にみる 麗し乙女のエトセトラ 華宵、淳一の挿絵と吉屋信子の少女小説」とあるように、少女雑誌の挿絵やグラビア、ふろく、投稿欄といった様々な部分を多様に展開。大筋としては、先日紹介した『女學生手帖』に準じているのだけれど、展示されているモノはよりきめ細かく展開されていて、数も多い。当時の少女雑誌や、場合によっては原画、写真などが様々に組み合わされているので、情報量が非常に多く充実した展示、という印象。とにかく、当時の雑誌の勢い、というか、メディアとしての強さを堪能。
そういえば、中高生くらいの娘さんたちが、中原淳一の挿絵を見ながら「これカワイイ」を連発していて、やっぱり今でも通用するんだ……としみじみ。といいつつ、個人的には松本かつぢが、絵に動きがあって好きだったりするんですが。
「竹久夢二 四季への讃歌」の方は、サブタイトルが「春花秋果 季節の詩情とその表現」とあるように、夢路の作品の中で季節感がどのように表現されているのか、ということを、様々な日本画作品や、装丁、各種のデザインなどからうかびあがらせる、という趣向。個人的には、夢二デザインの雑誌の表紙を同じ季節という観点で集めたコーナーに、グラフィック・デザイナーとしての夢二の面白さを感じたり。
最近、弥生・夢二美術館から足が遠のいていたのだけれど、また、定期的に通うか。
あ、それから、完全に余談なのだけれど、ひょんなことから「蕗谷虹児展 少女たちの夢と憧れ」(会場:新潟県立近代美術館 会期:2004年10月9日〜11月23日(当初予定))の図録を入手。会期途中に発生した、新潟県中越大地震によって中断してしまった、幻の展覧会だったりする。その図録に収録されていた年表で、戦後、東映動画に入社した蕗谷虹児が何をやっていたのか、やっとちょっとだけわかった。1960年に公開された『夢見童子』という作品の原画・構成に1年半あまり関わったとのこと。どんな作品だったのか、一度見てみたいなあ。
(2005年5月15日追記)
トラックバックをいただいた、フォルクローレ綾さんのブログ『ランガナータンの書斎』のエントリー「女学生らいふ展(弥生美術館)」で話題になっている、「お茶の水附属のチャンピオンベルト」。学芸員の方のギャラリー・トークによると、当時はそのベルトが女の子たちの憧れの的だったとか。各地の高等女学校も、こぞって同様のベルトを採用したそうです。今でも残っているのは、お茶の水女子大附属中学くらいしかないみたいですが。
ちなみに、現在につながるセーラー服型の洋風制服に制服が統一されたのは、昭和に入ってからのことで、それまでは和服・洋服ごちゃまぜで、いわゆる現在のような形の制服はなかったとのこと。洋服が優勢になるのも、関東大震災以後のことらしい。西洋化が進む一方で、ある意味で統制も進んでいった、ということなのかな? なかなかこの辺りの感覚がつかみにくいなあ。
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» 女学生らいふ展(弥生美術館) [ランガナータンの書斎]
弥生美術館の「女学生らいふ展」を見てきた。内容は、タイトルどおり昔の女学生について、当時の雑誌や吉屋信子を中心とした小説などを展示している。 吉屋信子の小説では、今でいうところの「マリア様がみてる」のスール制度の元祖(?)「エス」について解説を交えながら作品を紹介し... [続きを読む]
TBありがとうございました。お茶の水附属のベルトは以前から気になっていたので、弥生美術館で解決できてよかったです。
投稿: フォルクローレ綾 | 2005/05/16 23:47