学士会会報 no.854
ほえー、すごい選挙結果だなあ。これから4年間で、どんな法律が作られ、改廃されていくのやら。そういえば、どこぞのテレビのインタビューで、郵政の次の課題は治安って話が出てたなあ。って、ことは治安維……いやいや。
それはさておき。
『学士会会報』no.854 (2005.9)が先日届いた。結構中身が充実(というか、たまたま自分の関心領域との重なりが多いんだろうな)。とりあえず、忘れないうちにメモ。それにしても、東大OBを対象にしたSNSの広告にはびっくり。いったいどうしたことやら。
・高橋伸夫「仕事に戻ろう 成果主義ブームを振り返る」p.24-29.
講演記録。『虚妄の成果主義』(日経BP, 2004)の要点をまとめつつ、現時点での成果主義に対する総括を行なう、といった趣向。
「成果主義の犯した最大の罪は、そもそも賃金制度の問題ではなかった経営問題を賃金問題に矮小化してしまったことにある。」(p.25)
・吉田茂男「日本の科学は産業発展につながるか」p.46-52.
実は理研(理化学研究所)が、日本の産業発展に果たしてきた役割を歴史的に振り返りつつ、現在の日本の科学政策について意見を述べている。博士取得者の社会的位置づけの問題とか。
「我が国が本当に科学技術立国を推進するのであれば、親が自信を持って子供に勧める魅力的要素を研究技術職に与えるべきであろう。」(p.51)
・野家啓一「人文学は何の役に立つのか 「スローサイエンス」の可能性」p.53-58.
具体的な研究プログラムの提案、というわけではないのだけれど、人文学と自然科学との差異を積極的に評価すべき、との提案。しかし、それを社会に受入れてもらうためのハードルは高いような気がする。それと、教養論に結びつけるのはいかがなものか。
「科学知と人文知を隔てているのは、現在では「方法論」の対立というよりも、知の生産システムの近いという社会的要因にほかならない。」(p.57)
・本田博「アメリカの学術と教育の文化について思う」p.125-137.
タイトルからではわからないが、大学の同窓会や、ASMEの活動の紹介などもあり。
あと、ビジュアル中心の『U7』no.4 (2005)では、「田中宇の国際ニュース解説」の人のインタビューから構成した、田中宇「ネット・ジャーナリズムの旗手と呼ばれて」p.14-19. が、意外に読みごたえあり。
「事前に勉強せず、現場ですべての情報を集めようとするあまり、日本のマスコミは分析が浅い。」(p.14)
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