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2005/11/14

はみだしっ子を盗作?

 「日々記―へっぽこライブラリアンの日常―」のエントリー「誰のためのパクリ」経由(MIZUKIさま、思い出バトン、ほっぽらかしててすみません……)で、初めて、三原順『はみだしっ子』を盗作した推理(?)小説がある、という騒ぎが起こっていたことを知る。しかも、もう収束しているみたいだし。
 いかん。はっきりいって、三原順ファン失格だ。

 まとめのサイト「飛鳥部勝則氏「誰のための綾織」における、三原順氏「はみだしっ子」との類似点比較」や、「ブログ・ヘッドライン・鳥部勝則『誰のための綾織』が三原順『はみだしっ子』に類似?」、そして、出版社側のコメントなどを読んだりしていると、何とも不思議な感じ。
 特に、よくわからないのが、出版者側のコメントにある「素材カードに該当部分が紛れ込んでしまった」、という表現。これが著者側のホンネなのだろうか。せめて、実はめちゃめちゃ三原順のファンで、今回の小説も『はみだしっ子』へのオマージュを目指していたんです、とか、いってくれれば、まあ、しょうがないかなあ、という気分にもなったろうに。これでは、『はみだしっ子』を単なる素材扱いしやがって! と、ファン心理を逆なでしてしまっているような気が。
 とはいっても、三原順自身、『はみだしっ子』の中のフレーズを、他の人の作品の一部などを素材にして作り出している。それは『はみだしっ子語録』(白泉社ヒロインブック, 1981)で、ほんの一部だけだけれど三原順自身の言葉で明らかにされていることだったりするわけだし(あれ? この本、NDL-OPACでヒットしないような……)。だから、個別のことについて(まあ、確かにやりすぎ、という感じはあるけれど)、あんまり目くじらを立てるのは、どんなものかな、という気もしてしまう。
 むしろ、正直なところ、『はみだしっ子』が「盗作」されたことをきっかけに、三原順と『はみだしっ子』の名が、世の中で話題になったことの方が、私には嬉しかったりする。暴論かもしれないけれど、問題の書の出版社には、「同書を絶版とし、順次、市中在庫の回収」なんてことはせずに、白泉社と組んで、『はみだしっ子』と並べてガンガン売ってほしい。
 三原順作品は(一部の例外を除いて)ほとんどが、白泉社文庫に入っているわけだけれど、入手できる状態がずっと維持されるかどうかはわからない。このまま、同時代に体験した世代だけの思い出で終ってしまったのでは、私としては面白くないのである。
 この事件の影響で自粛などすることなく、世の小説家(もちろん、漫画家も)のみなさんには、がしがしと三原順作品をネタとして使っていただきたい。そしてもちろん、そのネタばらしを、後書きやらインタビューやらで思いっきり垂れ流していただきたい(今回みたいなやり方では、作家生命が危なくなっちゃうし)。そして、三原順とその作品を、後世まで伝えていってほしい。それが、(最初に失格しておいて何だが)三原順ファンとしての私の切なる願いである。
 ……とはいうものの、遺族には遺族の思いがあったりするだろうからなあ。うーむ。

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コメント

はじめまして。
『はみだしっ子』は、連載当時から読んでいて、コミックスも当時のものを全巻大事に持っています。
盗作騒ぎは、今日知ったのですが(遅!
『はみだしっ子』に日が当たって、ちょっとうれしいような、不思議な気持ちで、いろいろな記事を読んでます。渡り歩いてきて、共感しちゃったので、あしあと残しま~す。

ラビーさん、はじめまして。
あしあと、ありがとうございました……と、書いても、もうここは見ないかな?
先方のブログに、お礼を書き込みに行きますか。

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» + 盗作 【誰のための綾織】 飛鳥部勝則 [sowju.com]
↓分かりやすい検証サイト↓ http://www.geocities.jp/flutter_of_earthbound_bird/  故 三原順氏は、文字通り自分の命をかけて、作品を吐き出し続けた人だと思う。  どれだけの共感が、真実が、思想が、救いが、あの中にあっただろう。多分、それを産み出した御本人の... [続きを読む]

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