「学び」で組織は成長する
吉田新一郎『「学び」で組織は成長する』(光文社新書, 2006)を読了。
引っ越し前後から読み始めて、断続的に読んでいたので、何となく印象が散漫に……。通勤経路の関係で、これまでのように通勤時間を読書に充てることができなくなったのが痛いところ。別に長くてややこしいといった代物ではないので、本来は一気に読めてしまう本なのだと思うのだけれど。
本書でいう「学び」は、(主に仕事で)何かをするためのより良いやり方を探っていくための努力一般、といえば、多分、そんなに間違っていないと思う。その「学び」を行なうための方法を、スケール別に分類して、実例を紹介しつつ概説するという構成。一人でできるものから始まって、二人で組んで行なうもの、さらにチームで、組織ぐるみで、どのような「学び」の技法があるのかを、簡単に紹介している。
とにかく、本書は入口でしかない、という割り切りを徹底しているところが特徴。より詳しくは別著(著者本人の著作の場合もあるし、そうでない場合もある)を紹介して、そちらを読めと指示することで、読者に対してポータル(入口)として機能する、というのを狙っているような。もっと詳しく書いてくれても、という向きもあるかもしれないが、これ一冊で全部分かる!といった類いの本に比べればずっと良心的だろう。
基本的には、いわゆる講演型の集合研修に限界を感じている研修担当者や、組織の活性化の方法を探している人向けなのだけれど、結果として、ビジネス支援狙いの公共図書館や、社内研修のサポートを狙う専門図書館にとっては、選書リストのネタとしても使えるやもしれない。
組織論的な話もちょろっとあって(ピラミッド型ではなく、車輪型を!)、それを理想論だと批判するのは簡単なのだけれど、とりあえず、もっと風通しのいい組織にしたいよなあ、という点では同感なのだった。
ちなみに、読書(とその記録)も、一人でできる「学び」の方法の一つとして登場。量を読まないと駄目、という指摘は、今の自分にとっては、耳が痛かったり。
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