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2006/07/31

活字の国、朝鮮 朝鮮活字印刷文化との出逢い

 前日、天理参考館で『活字の国、朝鮮 朝鮮活字印刷文化との出逢い』(会場:高麗美術館 会期:2006年7月7日〜8月6日)のチラシを発見。朝鮮活字本に焦点を当てた展示会なんて、ちょっと聞いたことがない。この機会を逃しては、こんな展示は二度と見られないかも、という危機感(?)もあって、慌てて高麗美術館に出掛けることにした。
 京都駅から市バス9系統に揺られて30分以上。上賀茂神社の近くに、高麗美術館はあった。大きな博物館ではないが、庭に石像が展示されていたり、塀の瓦にも「高麗」の文字があったり、なかなか面白そうな雰囲気。
 ちなみに、行きのバスでは、偶然、同じ職場の人とばったり(目的地も一緒)というハプニングがあって、ちょっとびっくり。世の中狭い。
 展示は、冒頭に活字そのものの展示と、途中、日中欧と印刷文化史の比較を行なうコーナーが挟まる他は、とにかくずらっと朝鮮活字本が並ぶ。しかも、配布されている展示リストには41点しか掲載されていないのに対して、実際の展示は、100点を明らかに超えていたのではないか(数えてないけど)。
 高麗美術館所蔵資料だけではなく、個人蔵の資料と、京大、近大の所蔵資料を組み合わせて、同じ内容、あるいは関連する内容の資料が、様々な活字(あるいは活字本を覆刻した整版)で印刷されていたということが展示で展開されていた。
 とにかく、これだけの量の朝鮮本をまとめて展示すること自体、おそらく国内では前人未到の試みではなかろうか。しかも、各資料ごとに、どのような材質の、どの書体の系統の活字が使われているかが細かく記述されているという綿密さ。
 とはいえ、できれば、朝鮮活字の素人向けに、主な活字の系統についての解説パネルなどがあるともっと理解しやすかったとか、色々、細かい不満はなくもなし。展示番号なしの資料については、あちこち名票に混乱があって、どれがどの資料のことなのかわからないとか、名票に書かれている資料の数と並んでいる資料の数が合わないような気がするとか。あと、一点だけ、どう見ても写本にしか見えない資料か混じっていたような気がするんだけど、気のせいかなあ……。
 おそらくギリギリまで資料の追加が行われた結果、一部混乱してしまったのではないか、などとついつい想像してしまった。まあ、半可通のいうことなので、あまり本気にしないように。実は単なるこっちの勘違いかもしれない。
 それはさておき、これまで実在が疑われていたという瓢箪(ひょうたん)を素材とした「瓢箪活字」の実物が発見され、展示されていたり、学術的な側面からみても、内容は充実。
 ぜひ詳細な解説目録がほしいところだけれど、残念ながらそれはなし。代わりに、といっては何だけれど、今回の展示の監修者である、河廷龍(ハ・ジョンヨン)氏が、『高麗美術館報』66号から「高麗美術館蔵典籍紀行」と題して、主要所蔵資料の解説を連載しているのを発見。最新号の71号では、今回の展示会の背景や趣旨を解説している(とりあえず、これだけ買ってきた)。朝鮮本の書誌学については、あまり日本語で読める文献がないので、貴重な連載ではなかろうか。
 常設展示は、いわゆる李朝家具が中心。触ってはいけないのだが、かなり近づいて見ることができるので、素材の使い方とか、李朝家具の特徴をじっくり見ることができる。この手のものが好きな人にはたまらないだろう。
 ところで、瓢箪といえば、天理参考館の展示の朝鮮文化のコーナーで、瓢箪を材料にした面が多数展示されていたことを思い出した。瓢箪活字も、そういった瓢箪加工技術の蓄積があって作られたのかも、などと想像してみたり。

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