時をかける少女
コミケのために東京に出たついでに、『時をかける少女』(監督:細田守,制作:マッドハウス,配給:角川ヘラルド,2006年公開)を見てきた。
なるほど、ネット上、あるいは各種メディアにおける絶賛の嵐は、伊達ではなかった。実にいい映画である。雷雨にも負けず見に行って、落雷で山手線が止まって右往左往したけれど、それだけの価値はあった。
とまあ、これ以上は、いろいろ書かれまくっているので、さらに書くことなんてないのだけれど、それでも、これだけはいっておきたい。
東京国立博物館、グッジョブ!
見た人はもうご存知のとおり、東京国立博物館(そっくりの)博物館/美術館が、この作品では重要な舞台(の一つ)として登場する。明らかに東博内部を詳細にロケハンした様子がうかがえる上に、エンディングテロップを見ていたら、作品内展示の監修を東博の方がやっている。全面支援、というほどのものではないかもしれないが、東博の長い歴史の中でも、こういう形で映画(特にアニメ)をサポートすることは、あまりなかったのではなかろうか(よく知らないが)。
とにかくこれで東博はアニメ史にその名を刻み込んだ。羨ましい。ああ、わが社も舞台に使って欲しかった……。
作品については、語るだけ野暮、ということかもしれないが、細田守ファンにお馴染の手法やモチーフがちりばめられていて(製作費もそんなに馬鹿高くなくて)、しかも分かりやすいというあたり、押井守における『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』みたいな位置づけになるのかな、という気もしなくもなし(でも、続編だけはやめて欲しい)。まあ、全ては、細田監督の今後の作品次第なのだけれど、たとえどんな素晴らしい作品がこの先待っていたとしても、今、この作品を見ることの価値は、まったく減ることはないと思う。傑作。
京都でも上映が始まったら、また見に行こうかなあ。
« フラット化する世界 | トップページ | 新宗教と巨大建築 »
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 時をかける少女:
» 映画好きの徒然なるままに [映画好きの映画好きによる映画好きのための...]
今まで見た映画やレンタルのちょっと辛口?な、勝手な感想を聞いてやってください。価値観や環境が違っていても、映画を通じて多くの人と共感しあえたらと思います。感想も書き込んでいってね。 [続きを読む]
» 「時をかける少女」躍動感あるストーリーで見ていて楽しい [soramove]
「時をかける少女」★★★☆オススメ
細田守 監督、2006年
実写版のストーリーを念頭に見はじめたので、
途中で混乱した。
話を現代に置き換えただけでなく
ストーリーはほぼ別物だった。
主人公の溌剌とした感じや、
高校の頃の貴重なムダ使いの毎日が
...... [続きを読む]
» 【映画評】時をかける少女 [未完の映画評]
何度も映像化された名作をアニメーション作品として現代的に焼き直して生まれた青春映画の金字塔。 [続きを読む]
今朝の讀賣新聞東京本社版文化面「記者ノート」に、国立博物館の協力に関しての記事が掲載されていますね。それによると、細田監督と博物館の方が大学の同期であることから、実現したとか。企画展の内容や紹介文なども、ポイントになる架空の絵画に合わせて、それらしいものが用意されたようです。
投稿: 有馬泉 | 2006/08/31 14:21
なるほど、そういうことでしたか。ご教示感謝。
人脈だけではなくて、独法化が良い方向に作用したケースなのかも、という気もしてたりします。実際はどうなのかなあ。
投稿: oba | 2006/08/31 21:53