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2006/08/14

時をかける少女

 コミケのために東京に出たついでに、『時をかける少女』(監督:細田守,制作:マッドハウス,配給:角川ヘラルド,2006年公開)を見てきた。
 なるほど、ネット上、あるいは各種メディアにおける絶賛の嵐は、伊達ではなかった。実にいい映画である。雷雨にも負けず見に行って、落雷で山手線が止まって右往左往したけれど、それだけの価値はあった。
 とまあ、これ以上は、いろいろ書かれまくっているので、さらに書くことなんてないのだけれど、それでも、これだけはいっておきたい。
 東京国立博物館、グッジョブ!
 見た人はもうご存知のとおり、東京国立博物館(そっくりの)博物館/美術館が、この作品では重要な舞台(の一つ)として登場する。明らかに東博内部を詳細にロケハンした様子がうかがえる上に、エンディングテロップを見ていたら、作品内展示の監修を東博の方がやっている。全面支援、というほどのものではないかもしれないが、東博の長い歴史の中でも、こういう形で映画(特にアニメ)をサポートすることは、あまりなかったのではなかろうか(よく知らないが)。
 とにかくこれで東博はアニメ史にその名を刻み込んだ。羨ましい。ああ、わが社も舞台に使って欲しかった……。
 作品については、語るだけ野暮、ということかもしれないが、細田守ファンにお馴染の手法やモチーフがちりばめられていて(製作費もそんなに馬鹿高くなくて)、しかも分かりやすいというあたり、押井守における『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』みたいな位置づけになるのかな、という気もしなくもなし(でも、続編だけはやめて欲しい)。まあ、全ては、細田監督の今後の作品次第なのだけれど、たとえどんな素晴らしい作品がこの先待っていたとしても、今、この作品を見ることの価値は、まったく減ることはないと思う。傑作。
 京都でも上映が始まったら、また見に行こうかなあ。

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コメント

今朝の讀賣新聞東京本社版文化面「記者ノート」に、国立博物館の協力に関しての記事が掲載されていますね。それによると、細田監督と博物館の方が大学の同期であることから、実現したとか。企画展の内容や紹介文なども、ポイントになる架空の絵画に合わせて、それらしいものが用意されたようです。

なるほど、そういうことでしたか。ご教示感謝。
人脈だけではなくて、独法化が良い方向に作用したケースなのかも、という気もしてたりします。実際はどうなのかなあ。

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