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2006/10/26

天理図書館教祖120年祭・開館76周年記念展 江戸時代の西洋学

 先の週末は、病み上がりを押して(風邪を引いてました。まだ咽が痛かったり。)恒例教祖120年祭記念展特別展示の特別版「教祖120年祭記念・開館76周年記念展 江戸時代の西洋学」(会場:天理大学附属天理図書館2階展示室 会期:2006年10月19日〜11月12日)を見に出掛けてきた。
 江戸時代後半を中心に、蘭学・洋学関連資料を展示。いつもは、特別展と一般展示に分けて使われていた会場を全面的に使用(というわけで、今回は一般展示は見られません)している。他の特別展はまとめて一冊の図録だけれど、今回は図録も独立して販売。
 全体は「1.草創期の蘭学」「2.解体新書の時代」「3.フェートン号事件」「4.幕末の西洋学」の4部構成。江戸時代に輸入された来歴を持つ資料を含むオランダ語の洋書(蘭書)や、蘭学・洋学者たちによる代表的著作や自筆原稿、他に伝本のないレアな資料なども。桂川、大槻、といった蘭学の名家や、松平定信(「白河」印)の蔵書印なども楽しめる。さすがに来歴が豪華。17世紀製作の地球儀も展示されていて、目を惹く。
 残念ながら図録には掲載されていないが「38 芥川角太[ほか]写 鷙鳥之図 文化8−天保3写 1冊」は、長崎に入ってきた輸入鳥類を記録した大型の図譜。オウムや駝鳥の図画鮮やかだった。「41 宇田川榕庵画(自筆) 植物図 文政6写 1冊」も、図録に掲載されていないが、鮮やかな色彩、シーボルトのものらしき書き入れ(榕庵とシーボルトが植物の名称を互いに書き込んだらしい)など、これまた注目。
 今回の図録は、フルカラーなのはよいのだけど、収録されていない図版や解説が多いのが残念。モノクロでもいいから、全部の展示資料の図版と解説を載せて欲しかったなあ。
 また、他に伝本のない蘭学関係資料の写本をいくつも含む、戸板(多々良)保佑編『崇禎類書』は何やら面白そうな資料。戸板保佑(といた・やすすけ 1708-1784)って、もともと和算の人みたいなんだけど、何者? 『洋学史事典』に項目立ってる割に、仙台藩の天文方で、京都で改暦のための観測や計算をしていて、関流の伝書を集成(これが関算四伝書)して藩に奉呈。うーん、わからん。どうも関算四伝書の他、天文四伝書というのがあって(仙台藩天文学史 資料庫 天文四伝書 序文を参照)、その一部が崇禎類書らしい。序文が「宮城県史12」に掲載されているようなので、これも藩に収められて、今も仙台に写本があるのかな。

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コメント

obaさま、はじめまして。
天理でこんな特別展をやっているんですね。行きてぇ~!!! けど、仙台からは遠すぎます・・・^^;
 
戸板は仙台でもあまり評価されてない人物です。一般的には和算家として紹介されていますが、根は天文屋です。宝暦の改暦で京都に行って、関流和算家の山路主住と出会い、晩年に関算四伝書と天文四伝書を編纂しました。タイトルだけしか調べてませんが、『天文四伝書』の一部である「崇禎類書」には、初期の西洋学(蘭学)の内容を含んでいてひじょーに興味深い史料なのです。しかし、県史にある序文は天理の写しであって、仙台に『天文四伝書』は弟子が写したごくわずかだけしか伝わっておらず、その中に「天文類書」はないのです。

うぅー!見にいきてぇ~よぉ!!!

くろすけさん、貴重な情報、ありがとうございます!
天理本は本当に貴重なものだったのか、と改めて納得です。

それにしても、確かに、仙台から天理は遠いですよね。せめて、東京の天理ギャラリーに巡回するといいのですが。

ちょっとだけですが、図録には「崇禎類書」収載資料の図版もあったりします。郵送販売をしているかどうかわからないのですが、天理図書館に問い合わせてみてはどうでしょう。

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