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2007/12/09

柳澤文庫「甲斐武田と柳澤氏」展

 大和郡山へ行く用事があったので、ついでに柳澤文庫へ。
 何かやっているかな、と覗いてみたら、'07年度秋季特別展「甲斐武田と柳澤氏」(会期:2007年9月25日〜12月9日)を開催していた。風情のある木造の建物に靴を脱いで入り、廊下奥右手のふすまを開けると、二間の和室があって、そこが展示スペースになっている。
 郡山城の主であった柳澤氏といえば、徳川綱吉の側近であった柳澤吉保(自身は、川越藩主、甲府藩主だったが次の代で国替になって郡山藩主に)が有名なのだけれど、甲斐武田氏と関係があるとは知らなかった。
 何と、柳澤氏は元々武田の流れを汲む家で、武田氏が滅びた後、徳川家の家臣になったんだそうな。そういう背景もあって、柳澤氏は、自らの原点として武田氏関連の資料を蒐集していたようで、それらが柳澤文庫に残されている、ということらしい。武田信玄直筆の手紙なんか展示されていて、おお、という感じ。単なる大河ドラマ便乗企画ではないのだった。
 さらに、今回の展示の裏テーマは、近世大名としての柳澤氏における軍制と、領内統治との関係という点にあったようで、甲府から郡山へと領地が変わっていく過程における、柳澤氏の軍制の変遷に関する資料も展示されていた。
 そういえば、『兵学と朱子学・蘭学・国学』なんて本の感想を書いたこともあったなあ。やはり、江戸期の武士による統治を支えていたのは、軍事的な知と制度だったのか、などと、展示を見ながら考えたり。
 ちなみに、今の大和郡山は、金魚と城趾で知られる静かな町だけれど、かつては大阪の東の守りの要衝で、京都・奈良が大火の際には消火に向かう義務を負った重要な藩だったとのこと。その藩主の家に代々残されてきた資料を引継いだ柳澤文庫には、郡山藩関連の資料だけではなく、今回展示された武田家関連資料のような、様々な資料が残されているようだ。
 私立の図書館・古文書館としての活動もユニークだし(最近では、歴史体験講座や、学習相談も行なっている模様)、配布される観覧の手引き(手作り感溢れる解説目録)も親しみやすい対話体の補足説明を導入していて、工夫が凝らされている。低金利が続く中、財団法人の運営は大変だと思うのだけれど(おそらく文庫自体は極少人数での運営ではないかと)、これからもがんばってほしい、とか、偉そうに思ってしまう。今度行ったら、友の会入ろうかな。

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