日本語学 vol.35 no.10 [2016年9月]感想ツイート
メモ。金文京「中国古典文学研究と漢籍データベース検索」日本語学 v.35 n.10 [2016年9月] p.2-9。ある漢詩に関する、描かれている状況からすると、作者別人じゃね?という疑問を四庫全書の全文DBで解決という事例を通じて、古典全文DBによる研究の変化を論じる。
— Toshiyasu Oba (@tsysoba) 2016年10月16日
さらに「問題は、現在の日本の学界では、コンピュータ検索が十全にできる環境が整っていないことにあると思える」と指摘。日本の漢籍全文DB普及の遅れについて、「これでは中国の研究者と同じ出発点にさえ立てないに等しい」と危惧を示している。>金文京「中国古典文学研究と漢籍データベース検索」
— Toshiyasu Oba (@tsysoba) 2016年10月16日
メモ。陳力衛「『四庫全書』などの全文データから明らかになること—漢語の出典確認の可能性をめぐって」日本語学 v.35 n.10 [2016年9月] p10-22。日本独自の漢字熟語とされるものを、四庫全書DBで検証し、これまでの研究とは異なり中国由来だったりするケースを紹介。
— Toshiyasu Oba (@tsysoba) 2016年10月16日
そもそも使いこなすには漢文の素養が必要であり、また、四庫全書自体の限界(採録年代や改変など)もあるものの、これまで「一語十年」かかった研究の「一語一年」への短縮や、それによる研究の飛躍的発展への期待が述べられている。>陳力衛「『四庫全書』などの全文データから明らかになること」
— Toshiyasu Oba (@tsysoba) 2016年10月16日
ちなみに、『日本語学』2016年9月号の特集は「漢文の最新情報」。 http://www.meijishoin.co.jp/book/b226814.html 「「少年老い易く学成り難し」詩の作者と解釈について」とかも面白かった。「作者」の同一性とか、結構えーかげんなもんだった、ということがよくわかる。
— Toshiyasu Oba (@tsysoba) 2016年10月16日
あと、「出土『老子』と『老子』解釈の新局面」の、出土した古いテキストによって、「大器晩成」の「晩」は実は「免」で、極めて巨大な器はいくら作り続けても完成することがない、という無限概念に関する一節だったことが判明、という話が面白かった。>日本語学2016年9月号
— Toshiyasu Oba (@tsysoba) 2016年10月16日
ちょっと補足すると、「中国古典文学研究と漢籍データベース検索」で紹介されている、作者が別人なのでは、という疑問は1時間程度でほぼ解決できたとのこと。様々な編纂の過程で混乱した情報を、全文テキストデータベースによって解きほぐすことができた、というのは、その有効性に関する分かりやすい事例かもしれない。。
それと、ツイートでも触れた(サブタイトル略したけど)、蜂屋邦夫「出土『老子』と『老子』解釈の新局面―楚簡『老子』・帛書『老子』・漢簡『老子』のもたらしたもの」(p.24-32)で紹介されている老子の古テキスト出土による様々な解釈の変化については、ちくま新書の湯浅邦弘『入門 老荘思想』 http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480067838/ でも主題になっていたことを思い出した。
また、朝倉和「「少年老い易く学成り難し」詩の作者と解釈について―「詩の総集」収載の意味するところ」(p.34-45)で取り上げられている「翰林五鳳集」について「ちなみに、大日本仏教全書本の底本である国会図書館蔵 相国寺雲興軒旧蔵本は、現存する諸本の中で最も古く、由緒正しき伝本」(p.37)との記述がある。鶚軒文庫本については別に記載があるので、請求記号241-1か、862-108のどちらかだろうか。他の論文で詳述されている模様。
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