石井洋二郎 編『21世紀のリベラルアーツ』水声社, 2020.
2021年年9月4日読了。ざっくり感想を一応記録。
出版社サイトの紹介は次のリンク先を参照。
http://www.suiseisha.net/blog/?p=13609
2019年12月14日に中部大学で開催されたシンポジウム「21世紀のリベラルアーツ」を元に、書き下ろしの論考や対談を追加したもの。
編者の石井洋二郎氏に加え、藤垣裕子氏、國分功一郎氏、隠岐さや香氏の論考と、全員に玉田敦子氏を加えたパネルディスカッションの記録、石井氏と藤垣氏の対談、という構成。
当該書は読んでいないのだが、どうやら、東大における実践を再構成した
石井洋二郎 著・藤垣裕子 著『大人になるためのリベラルアーツ』東京大学出版会, 2016.
石井洋二郎 著・藤垣裕子 著『続・大人になるためのリベラルアーツ』東京大学出版会, 2019.
を背景としている模様。産業界からの要請も踏まえつつも、大学におけるリベラルアーツ教育がどうあるべきか、という観点から議論が展開されている。
答えのない問いと答えのある問い、問いを立てる能力、分からない/分かりあえないものとの対話、成熟した市民、対話を重視することにより見失われるもの、といった様々な論点が提示されていて、考えるためのとっかかりが多数提示されている感じ。
解決策を直線的に見出すことよりも、答えの出しがたさと向合うことが、たこつぼ化して、それぞれの領域に分断された状況においてなお、それぞれがたこつぼの外側とやりとりをする土台となる「経験」として重要であり、そうした機会を提供するリベラルアーツが、高等教育という面でも、市民社会の維持構築という意味でも、必要なのではないか、という提起として読んだ。
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