樋口恭介『未来は予測するものではなく創造するものである─考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』筑摩書房, 2021
樋口恭介『未来は予測するものではなく創造するものである─考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』筑摩書房, 2021.を読了。
未来のあり方を想像し、創造するための手法として、SF小説(厳密には小説に限らないが)を活用する、SFプロトタイピングについての解説と事例集。著者はSF作家であるとともにコンサルタントとして活躍しており、通常の課題・問題解決を旨とするコンサルとは、本質的に異なるものとして、SFプロトタイピングを位置づけつつ、SF的な発想や考え方そのものを、未来を自分たちで作り出していくために必要なものとして位置づけ、その重要性を語っている。
実践的な手法についても解説されているのだけど、そうはいっても、自分たちでいきなり実践するより、まずは著者に依頼するのが一番手っ取り早そう、という気持ちにさせる、という意味では通常のコンサル本的な性格も。
予測と予想に縛られた思考から解き放たれるために、SF的な想像/創造力が有効である、という話は、刺激的。明るい未来だけではなく、ディストピアを想像した上でその未来にどう対抗するのか、という発想をするというのもあり、という感じなので、現状ではむしろディストピア的想像力の方が案外ぶっ飛んだ発想ができるかもしれない、などと思ったり。
何にしても、こういうワークショップ、図書館や博物館関連のイベントで、情報や、知識、文化の未来を想像する、という感じでやってみたら楽しそうだなあ(と思ってしまう時点で、著者の術中にはまっているような気も……)。
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