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2024/04/11

慶應義塾ミュージアム・コモンズ「エフェメラ:印刷物と表現」/慶應義塾大学アート・センター「Published by KUAC ── 出版物でたどる慶應義塾大学アート・センターの30年」

慶應義塾ミュージアム・コモンズ「エフェメラ:印刷物と表現」/慶應義塾大学アート・センター「Published by KUAC ── 出版物でたどる慶應義塾大学アート・センターの30年」

どちらも土日祝日は基本開いてないので(ミュージアム・コモンズは土曜開館日もちょっとだけあり)、平日たまたま休みが取れた際に行ってきた。 それぞれ会期は次の通り。

まずは慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)の「エフェメラ:印刷物と表現」の感想から。

2023年9月16日に開催された、トーク・イベント「エフェメラの住み処」(慶應義塾ミュージアム・コモンズとNPO法人Japan Cultural Research Instituteの共催)を受けた展示。トークイベントについては、レポートがカレントアウェアネス-Eで公開されている。

今回の展示は特に展覧会やイベントに関するお知らせ的な機能を持った印刷物が中心。雑誌も展示されていて、それをエフェメラと言ってよいのかどうか、という感じもあるけど、揃いの残存が少なければ確かにエフェメラ的なものと言ってよいのかもしれない。

展示は、二つの部屋に分かれていて、Room1では、現代美術を積極的に発信した南画廊のカタログや案内状(1950年代から1970年代)と、言わずとしれた?草月アートセンターの刊行物(SAC Journal)やポスター・案内状等(1960年代)、そして、オランダにおけるコンセプチュアルアートの発進地となった画廊Art & Projectがその展示を知らせる媒体として刊行したbulletin(1960年代から1980年代)がコンパクトな空間にずらりと並んでいた。

Art & Projectについては正直知らなかったのだけど、bulletin全号がずらりと並んでいたのは壮観。おそらくそこに示された名前を知っていればさらに楽しめたかも。どの人の展覧会の号を開いているのか、というところに、おそらく意味があったんだろうと思うのだけど、知識がないので分からん……

そういう意味では、南画廊や、草月アートセンター関連の資料の方が少しは分かったかも。特に草月アートセンター関連では、草月会館ホールで開催された久里洋二・真鍋博・柳原良平による1960年の「3人のアニメーション」や、1967年の「アニメーションへの招待」と題された、ピエール・エベールらのアート系作品と並んでディズニーやハンナ・バーベラ、そしてポール・グリモー「やぶにらみの暴君」などが延々と上映された上映会のポスターなどもあって、アニメ史的にも草月大事だなあ、とあらためて認識したり。その他、現代音楽のコンサートイベントがらみの資料もあって、国立国会図書館に手稿譜が所蔵されている林光の名前などもあった。

Room2は河口龍夫と冨井大裕による現代美術の二人展。どちらも、既存の印刷物を題材にしつつ、まったく異なるアプローチの作品を展開していて、面白かった。

どちらの部屋も、解説などはあまりなく、たぶん、ギャラリートーク付きで見たらまた印象が違うかも。あるいは、別のフロアの事務室で販売されている、図録を先に入手した方がよいかもしれない。

特にRoom1に展示された「エフェメラ」は、その資料が結びつく様々な文脈が提示されないと、その面白さが分かりにくい、というのが資料の特性でもあるので、もうちょっと文脈提示が展示に組み込まれていると楽しみやすかったかも。

慶應義塾大学アート・センター(KUAC)の「Published by KUAC」は、KUACの刊行物やポスター、チラシ、そしてイベントでの配布物を一気に並べた展示。過去の図録・パンフは全部手に取って見られるということで、いちいち開いて見てたら結構時間かかった。しかも一部在庫があるものは、展示室とは別の階にあるオフィスで購入可能なものもあったり。この手の展示で、現物を手に取れるのはやはり強い。

イベントでの配布資料などは、手に取るというわけにはいかなかったが、例えば、2003年12月20日開催のシンポジウム「アート・アーカイブ活動のための基礎的理論整備」(開催案内でのタイトルは(仮)だった最終的にはどうなったんだろう)は、進行役が高山正也先生、講演者として八重樫純樹先生、田窪直規先生が登場していて、特に八重樫先生の当日の配布資料があって目を引かれた。中身まで詳しく見れたわけではないが、その後のデジタルアーカイブにつながる議論がここで展開されていたことがうかがえる。

どちらの展示も、とにかく部屋の広さに比して展示点数が多いので、時間的には油断大敵かと。

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